ALC・土壁・鉄骨…構造を見極めることが安全なエアコン施工の第一歩

エアコンの取り付け工事は、建物の構造によってまったくやり方が変わります。特に古い住宅では、外観がきれいに見えても中の構造が想像以上に複雑で、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。新しい家のように図面通りの下地が入っているとは限らず、壁の内部が空洞になっていたり、素材が脆くなっていたりすることも珍しくありません。こうした現場で求められるのは、経験に基づく「構造を読む力」と「慎重な判断力」です。今回は、古い住宅でのエアコン取付を成功させるために必要な考え方と施工のポイントを、構造別にお伝えします。


土壁住宅での取り付けは“壁を信じない”ことから始まる

古い日本家屋や昭和期の住宅に多い土壁は、一見しっかりしていても内部が非常に繊細です。竹や木の下地に土を塗り重ねただけの構造なので、ビスを打ち込んでもすぐに緩んだり、壁ごと崩れ落ちたりすることがあります。実際の現場では、見た目では判断できない劣化が進んでいることもあり、慎重な見極めが欠かせません。

施工の第一歩は、下地の確認です。柱や梁の位置を叩いた音や壁の響きで探り、しっかりした構造材を見つけて固定することが基本になります。壁自体に負担をかけず、荷重を構造体に逃がすことを意識することが重要です。下地が見つからない場合は、合板や補助板を使い、広い面で荷重を受け止める工夫をします。縦方向に補強材を入れる方法も効果的で、見た目を損なわずに安定した固定が可能です。

穴あけ作業では、焦りは禁物です。土壁は振動に弱いため、ドリルの速度を落とし、少しずつ掘り進めることでひび割れを防げます。貫通後は、スリーブを通して壁を保護し、隙間にはパテや発泡ウレタンを詰めて密閉します。これを怠ると、雨水や湿気が入り込み、内部が腐食してしまう原因になります。古い土壁の現場こそ、丁寧な作業が最終的な仕上がりを左右するのです。


ALC壁は頑丈そうで実は割れやすい素材

リフォーム済みの住宅や集合住宅でよく見られるALC(軽量気泡コンクリート)は、一見コンクリートのように硬そうに見えますが、実は非常に脆い素材です。内部に無数の気泡を含んでおり、衝撃を加えると簡単に割れてしまう性質があります。そのため、強くビスを打ち込むと周囲にひびが入ったり、保持力が極端に落ちたりすることがあるのです。

ALC壁に室内機を直接固定するのは避けるべきです。木材や軽量鉄骨で下地を組み、その上に背板を取り付けることで、荷重を分散させて安全に施工できます。また、ALCは吸水しやすいため、配管穴の防水処理を怠ると内部に水が溜まり、膨張して割れが生じることもあります。スリーブを通した後は、外側・内側の両面をパテやコーキングでしっかりと密閉し、気密性と防水性を確保することが欠かせません。

もう一つのポイントは、アンカーの間隔です。ALCは割れやすいため、アンカー同士を近づけすぎると、その部分に応力が集中してヒビが入ることがあります。位置をずらし、バランスよく配置することが重要です。施工後に見た目はきれいでも、内部で割れが広がっている場合があるため、経験をもとに安全な位置を判断できる目が求められます。

お客様への説明も忘れてはいけません。ALC壁の場合は、補強や補修跡が残る可能性を事前に伝えておくと、施工後のトラブルを防ぐことができます。こうした一言が、信頼される職人としての評価を大きく左右します。


鉄骨構造の住宅では“見えない壁の中”を読む力が試される

鉄骨造の住宅や、鉄骨+ALCの混構造では、内部に梁や鉄材が通っており、施工ミスによって構造体を損傷するリスクがあります。特にリフォーム済みの物件では、内装材が張り替えられて鉄骨位置がわかりにくくなっていることも多いため、施工前に壁の厚みや響きから内部構造を想定する力が必要です。

鉄骨に直接ビスを打つ場合は、防錆処理済みの部材を使用し、屋外ではステンレス製の金具を選ぶことで長期的な耐久性を確保できます。また、銅管など金属配管と鉄骨が直接触れると電食が起こり、腐食が進む恐れがあります。絶縁材を挟むなどの対策を行うことで、後々のトラブルを防げます。鉄骨構造の現場は、構造理解と電気知識の両方が求められる現場です。

混構造では、貫通穴を開ける際に複数の素材を通過することがあり、ALCや鉄骨、石膏ボードなど異なる硬さの層を慎重に貫いていく必要があります。角度を誤ると、スリーブが斜めになり、配管の勾配や外観にも影響します。各層ごとに防水と気密処理を行い、仕上げを丁寧に整えることで、見た目も耐久性も高い施工になります。


古い家だからこそ技術の差が出る

古い住宅のエアコン取付は、どの構造であっても“慎重さ”と“経験値”が求められる仕事です。図面に頼れない現場では、壁を叩く音や触った感触、素材の見た目など、職人の感覚が頼りになります。その判断一つで、仕上がりの品質も、安全性も大きく変わります。

そしてもう一つ大切なのは、お客様への説明と信頼関係です。古い住宅の壁は脆く、補修や補強が必要になることも多いため、施工前にしっかりと説明しておくことが重要です。どんなに腕の良い職人でも、説明不足で誤解を招けば信頼を失いかねません。誠実にリスクを伝え、最善の方法を提案できる職人こそ、長く選ばれる存在になります。


まとめ:構造を見抜く力が職人の価値を決める

古い家ほど、施工の難しさと同時に、職人の力量が問われる現場です。土壁、ALC、鉄骨、それぞれに異なる性質があり、その家に合わせた最適な方法で取り付けができるかどうかが信頼を左右します。単に“付ける”だけでなく、“建物を守る施工”を意識することで、エアコン工事の品質は格段に上がります。

現場を見て構造を判断し、最適な方法を選び抜く力は、一朝一夕で身につくものではありません。しかし、こうした経験を積み重ねていくことで、どんな建物にも対応できる真のプロとして信頼されるようになります。古い住宅は、職人の技量が最も光る現場です。丁寧な施工と確かな判断力で、これからの時代も長く選ばれる業者を目指していきましょう。


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