取り付け後に「効きが悪い」と言われたときに確認すべきこととは？
acp_editorエアコンを丁寧に取り付けたはずなのに、お客様から「あまり冷えない」「前のエアコンの方が効いていた気がする」と言われた経験はありませんか？このような場面は、エアコン工事に関わる方であれば一度は経験するものです。
もちろん、すべてが施工不良によるものとは限りません。しかし、こうした声の裏側には、ちょっとした確認不足や気配りの足りなさが原因となっていることも少なくありません。
今回は、「効きが悪い」と言われるケースにおいて、現場で確認すべきポイントと、職人として意識したいことについてお伝えします。
冷媒配管の曲がりや潰れを確認しましょう
まず最初に確認すべきは、冷媒配管が正しく取り回されているかどうかです。
銅管を無理に曲げたことで配管内部が潰れ、冷媒の流れが妨げられている可能性があります。
見た目には問題なく見えても、実は内部で冷媒の通りが悪くなっているというケースは少なくありません。
特に、液管側の圧力損失は冷却性能に大きく影響を与えます。
配管を曲げる際は、見た目の仕上がりだけでなく、冷媒の流れを意識した施工を心がけることが重要です。
真空引きの精度は十分でしたか？
夏場の繁忙期などで1日に複数の現場を回っていると、つい真空引きの工程を短縮してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、真空引きが不十分だと、配管内に空気や水分が残り、冷媒の循環に支障をきたします。
結果として、「冷えが悪い」「効いていない」と感じられてしまう原因となります。
ゲージでしっかり数値を確認し、規定の真空度まで引けているかをチェックする習慣を身につけましょう。これはミス防止だけでなく、自信を持った施工にもつながります。
室外機が動作しているか確認しましょう
意外と見落とされがちなのが、室外機がしっかり動作しているかどうかです。
室内機から風が出ているために、問題ないと判断してしまうこともありますが、実際には室外機に電源が届いていなかった、ブレーカーが落ちていた、電圧が不足していたというケースも考えられます。
新築やリフォーム現場では、コンセントの極性や電圧が異なる場合もあるため、設置後の試運転では室内機・室外機の両方を必ず確認するようにしましょう。
冷媒ガスの量や漏れの有無も要確認です
施工時のフレア加工や接続部分の締め付けが甘かった場合、冷媒ガスが微量に漏れていることがあります。
初期ガスで対応できる長さの配管であっても、冷えが悪いと感じる場合は、まずは冷媒圧力をチェックし、必要に応じてガスの補充や再接続を行いましょう。
また、ガス不足の判断を早まらず、漏れが発生していないかの確認を優先する姿勢が大切です。
設置環境による「体感温度の差」にも注目を
お客様が「冷えない」と感じる原因は、機器の不具合や施工ミスだけではありません。
たとえば以下のような設置環境も影響する場合があります。
- 日当たりが強く、部屋全体が熱を持ちやすい
- 吹き抜けや高天井などで冷気が循環しづらい
- 断熱性が低く、外気の影響を受けやすい
- サーキュレーターや扇風機などの補助がない
このような環境では、エアコンが正常に動作していても、お客様が「思ったほど効いていない」と感じることがあります。
こういったケースでは、施工完了後に簡単なアドバイスを添えるだけでも印象が大きく変わります。
「効きが悪い」と言われたときこそ、プロとしての姿勢が問われます
「効いていない」「冷えない」と言われると、どうしても「それは機器の問題かも」と思ってしまいがちです。
しかし、そこをすぐに責任転嫁せず、まずは自分の工事を冷静に振り返ってみることが大切です。
職人としての真価が問われるのは、まさにこのような対応の場面です。原因を探り、お客様に納得いただける説明と改善策を提供できるかどうかで、今後の信頼や紹介にもつながっていきます。
まとめ
エアコン工事後の「効きが悪い」というトラブルは、施工側としても非常に悩ましいものです。
しかし、その原因の多くは、日々の作業に少しだけ丁寧さと確認を加えることで防げるものばかりです。
配管の取り回し、真空引きの精度、電源の確認、冷媒の扱い、そして設置環境への理解。
これら一つひとつの積み重ねが、高品質な施工を生み出し、お客様からの信頼へとつながっていきます。
エアコン工事は、ただ取り付ければ終わりではありません。完了後の“体感”まで含めて施工品質です。
ぜひ今回の内容を日々の仕事に活かし、ミスのない、満足度の高い仕事を目指していきましょう。
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